臨床研究

● 研究概要
01 腫瘍崩壊症候群の実態調査
腫瘍崩壊症候群はoncologic emergencyの一つで、近年分子標的薬の広範な臨床導入により、その頻度は増加しています。十分 な化学療法を遂行するためにはその予防が重要で、リスク評価法が提唱されています。しかしそれらはほとんどが後方視的解析に基づいており、エビデンスは十分ではありません。腫瘍崩壊症候群に関し、前向きに実態調査を実施し、これまでのリスク評価の妥当性を検証すると共に、新たなリスク評価の提唱を目指しています。
02 低腫瘍量濾胞性リンパ腫に対するリツキシマブ療法の検討
リツキシマブの臨床導入により、濾胞性リンパ腫の予後は大幅に改善しました。しかし進行が緩徐であること、自然退縮が認められることより、臨床症状が認められない、いわゆる低腫瘍量濾胞性リンパ腫においては、リツキシマブの最適な使用法は不明です。そこで低腫瘍量濾胞性リンパ腫を対象として、リツキシマブの最適な使用時期を検討する臨床試験を計画立案中です。
03 造血器腫瘍のデータベース作成
他のがん種と同様に、造血器腫瘍においても頻度、症例の背景等の基本的なデータは十分ではありません。県内の基幹病院と連携して、造血器腫瘍のデータベース作成を計画しています。
04 新規薬剤の開発
悪性リンパ腫、白血病などの造血器腫瘍を中心として、新規薬剤開発のための多施設臨床研究に参加しています。薬剤開発の加速と共に、新たな病態解明が期待されます。
● 当科における臨床研究の取り組み
山形大学医学部第三内科・血液・細胞治療内科学分野では、造血器腫瘍を主な対象として、臨床研究を中心に基礎研究まで幅広く展開しています。
診療で得られた知見を科学的に検証し、患者さんの予後改善と新規治療の開発につなげることを目標としています。主な研究内容は以下の通りです。
造血幹細胞移植関連研究
当科では同種造血幹細胞移植に関する後方視的解析を行っています。全国的な移植データベースや自施設データを活用し、サイトメガロウイルス再活性化と移植成績の関連、移植後の免疫再構築と予後、さらにドナーおよびレシピエントのHLA型と移植成績の関係などを検討しています。
これらの解析を通じ、移植成績を左右する因子や免疫学的要素の解明を進めています。
さらに基礎的研究として、ノックアウトマウスを用いて同種移植後の免疫状態を解析し、移植成績の向上につながる新たな知見の創出を目指しています。
急性骨髄性白血病および骨髄異形成症候群に関する研究
急性骨髄性白血病に関しては、データベースの解析を通じて治療法の選択とその成績の実態を検討しています。
また、免疫細胞が急性骨髄性白血病の再発抑制に働く分子機序を解明し、免疫細胞を活用した新たな治療法の開発を目指しています。
さらに、急性骨髄性白血病と関連疾患である骨髄異形成症候群においては、免疫異常に着目し、しばしば合併する腸管障害との関連を研究しています。これにより、骨髄性腫瘍に共通する免疫学的背景を明らかにし、治療戦略への応用を目指しています。
多発性骨髄腫に関する研究
多発性骨髄腫においては、臨床データを用いた解析により病態や予後因子の同定を進めています。
特に、既存治療の長期的な成績や再発パターンを詳細に検討し、将来の治療選択に資する知見の集積を行っています。こうした取り組みにより、患者予後のさらなる改善を目指した診療と研究を推進しています。
多発性骨髄腫に関する研究
悪性リンパ腫に関しては、複数の臨床研究を展開しています。
リツキシマブの血中濃度と治療効果の関連を解析し、至適投与や治療効果予測に役立つ指標を検討しています。
また、臨床データベースを用いて治療成績や再発リスク因子を解析するとともに、腫瘍細胞の遺伝子発現とPET画像におけるSUV値との関連を研究し、治療反応性や予後予測に寄与する新たなバイオマーカーの探索を行っています。
合併症と支持療法に関する研究
腫瘍崩壊症候群については前向きの実態調査を行い、従来のリスク評価法の妥当性を検証するとともに、新たなリスク評価基準の確立を目指しています。
また、造血器腫瘍治療経過中の免疫グロブリン分画レベル、とりわけIgG2を含む各サブクラスの変動と合併症との関連についても検討しており、支持療法の最適化につなげることを目指しています。
新規薬剤開発に関する研究
悪性リンパ腫や白血病などの血液疾患を対象とした多施設共同臨床研究に積極的に参加し、新規薬剤の臨床導入と病態解明に貢献しています。
さらに、世界規模で実施される新規薬剤の開発治験にも多数参画しており、薬剤開発の加速とともに、個別化された治療の実現に向けた取り組みを進めています。
● 臨床研究・治験
募集中の臨床研究・治験
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実施中の臨床研究・治験
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